気候変動へのアプローチ 大気を「見る」

2021年11月05日
GOSAT衛星で観測した地球のCO2濃度分布 提供:JAXA

環境省、国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構の3機関が共同で2009年に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」の12年以上にわたる観測(CO2濃度分布)を一覧にしました。
ここから、CO2濃度分布の地域差、季節による変動、年変化を見ることができます。

地域差では、北半球陸域では、南半球陸域や海洋域に比べて濃度変動が大きいことが分かります。

季節による変動をみると、夏季には植物の光合成が活発となることで、二酸化炭素が吸収され大気中濃度が減少します。逆に冬季は植物の呼吸や土壌有機物の分解が光合成と比べて優勢となるため大気中の濃度が上昇します。

年による変化は寒色から暖色へ、顕著に表れています。
いぶきが打ち上げられた2009年から、全球での二酸化炭素濃度は毎年2~3ppm程度上昇し、2021年現在、約420ppmにも達する勢いで上昇し続けています。
これは、産業革命以前(1750年頃)の二酸化炭素濃度の280ppmよりも約50%も多い値です。

気象庁の観測による日本の平均気温を見てみましょう。
1910~1939 年と1991~2020年の各30年間で猛暑日を観測した年平均日数を比較すると、約0.8日から約2.5日と約3.1倍に増加しています。
また、観測史上最高気温41.1℃を記録したのは、2018年(埼玉県熊谷市)及び2020年(静岡県浜松市)と、この数年でのことです。

2020年には、日本の平均気温の基準値からの偏差が+0.65℃と、1898年の統計開始以降最も高い値となりました。
長期的にみた日本の平均気温は、100年あたり1.26℃の割合で上昇しています。

気候変動の影響を最小限に抑えるため、2015年開催のCOP21のパリ協定では、産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑える努力目標を立てました。しかし、2021年8月のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、2021年~2040年には到達する予測が報告されています。
2021年11月にイギリスのグラスゴーで開催されているCOP26では、地球温暖化対策の強化に向けた議論が行われています。

CO2などの温室効果ガスの排出によって、地球の温暖化が進んでいることは疑う余地がありません。
人工衛星による大気の「見える化」が気候変動への私たちの理解の助けとなります。

衛星温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
観測期間2009年6月~2021年4月