RESTECはさまざまなネットワークや経験を活かして、農業分野における課題解決に役立つ情報や衛星を活用したサービスを使いやすい形でご提供します。 国内に限らず海外でも各国の宇宙機関、農業機関などとも密接に連携し、農業分野でのリモートセンシングの利用やスマート農業の促進に取り組んでいます。

衛星データを活用した水稲作柄予測調査

農林水産省が全国各都道府県を対象に公表している水稲の作柄予測について、令和2年8月15日作柄概況より、衛星データを利用した新たな手法が導入されました。
従来の水稲調査では、草丈や茎数といった生育状況を実測で調査していましたが、アメダスのデータと人工衛星から取得したデータのみを利用した地域ごとの作柄を予想することが可能となりました。
このように、ICT技術等を活用した手法が、農業分野での合理化を可能にします。

RESTECでは平成29年度より農林水産省受託事業としてこの新たな手法の開発に取り組んでまいりました。今後もより効率的かつ精緻な水稲作柄予想手法の検討を行い、農林水産行政サービスへの貢献を目指します。

従来の生育状況実測調査の例

   

人工衛星データを活用した新たな手法による作柄予測イメージ図

  • アメダスデータに加えて、衛星データを利用することにより生育ステージの異なる地域の作柄を予測

超小型衛星を活用した水稲営農支援

超小型衛星PlanetScopeは、従来の衛星と比べて大幅に製造コストを抑えているにもかかわらず、ほぼ同等の性能(4バンド:青、緑、赤、近赤外;空間解像度3.7m)を持つだけでなく、百数十機の同時運用によって、ほぼ毎日の観測を実現しています。このため、超小型衛星によって従来の衛星ではできなかった、高時間分解能、高空間分解能による衛星モニタリングシステムが構築できるようになりました。

超小型衛星群を用いた水稲営農支援システムとして機械学習(サポートベクターマシーン)を用いることにより、コシヒカリBLとみずほの輝きを対象として、7月中旬~下旬の穂肥診断における草丈・茎数・葉色(SPAD値)、9月上旬の収穫適期および収量・品質を、誤差数%から十数%の精度で予測することに成功しました。
このような取り組みがスマート農業の推進につながることと期待しています。

水稲の作付面積の推定

アジアの多くの国で食されている米。日本では灌漑設備が整った水田で生産されていますが、東南アジアの国々では雨水に頼った天水栽培も多く見られます。そのような場所では、その年の雨の降り方によって作付面積が大きく変わります。しかし、正確な作付面積の調査が難しいのが現状です。そこで、リモートセンシングの出番です。合成開口レーダ(SAR)は昼夜天候を問わず観測可能で、その観測データから水稲の作付地や面積を推定することができます。(図A-3)RESTECは、さらに収穫量の推測や、トウモロコシ・サトウキビなどの他の農作物への応用研究も進めています。

アジアの稲作の作況を判断する情報として公開する農業気象情報システム(JASMIN)の一例。
(B-1)上段では降水量・日射量・地表温度等を表示。下段は、それぞれの値が平年値と比べ高ければ赤、低ければ青で表示。(B-2)降水量の表示例。タイ北部で例年より降水量が多い地域があることが一目でわかります。